地域における歯科保健活動 −千葉県柏市の先駆的な取り組み−

介護予防事業『口腔ケア』における地域かかりつけ歯科連携

T 柏市歯科介護予防事業とは

平成18年度より、介護保険における介護予防事業の1つとして『口腔機能の向上:口腔ケア』が導入されました。柏市においては、従来の基本検診とは別枠で、地域の協力歯科医院において、この事業のスクリーニング検査やお口の衛生状態の判定を無料で実施するルートを行政とともに構築しております。

U 肺炎予防対策としての口腔ケア

日本人の死亡原因の第4位である肺炎は、高齢期になるほど増加し、
     後期高齢者においては第1位となります。そして、高齢者肺炎の約1/3〜半数が
   飲み込み障害による肺炎と推測されています。この肺炎を予防するために介護予   防に口腔ケアが組み込まれました。

特に、介護疾患を有する方の直接的な死亡原因では、がんや心疾患という日本人の死因の1,2位を占める病気を合わせても20%程度に減少して、それらにかわり呼吸器を含む感染症が約半数を占めてきます。

V なぜ高齢期には肺炎が増えてくるのでしょうか?

私たちは、いつでも呼吸が出来るように、のどの部分の気道がいつも開いた状態になっています。そして飲みこむときだけのどのフタが閉じて食道に食べ物が送り込まれて、気道にはいらない仕組みになっています。

ノドの部分は、気管への呼吸するルートと食道へ食べ物を飲み込むルートが交差する場所です。しかしながら、高齢者はのどのフタを閉じる反射が鈍くなりムセやすくなりますそのため誤って気管に唾液や食物が入りやすくなります。これを誤嚥といいます。この誤嚥がおこることで、慢性的な老人性の肺炎が起こりやすくなります。

W 介護疾患(脳卒中・認知症・パーキンソン病)では、誤嚥による肺炎が増えてきます。

誤嚥性の肺炎を予防するためには!

@       感染経路である口腔を清潔にする

A       上手に飲み込むために、口腔体操にて口腔機能を向上させる

B       口腔ケアにて、飲み込みと咳の反射を改善させる

C       歯科治療にて、栄養状態を改善して肺炎を起こしにくい身体をつくる

X 健康な高齢者においても夜間はのどの反射能力が低下して、誤嚥は発生します。つまり、寝ている間などに唾液と一緒に口内細菌を毎晩飲み込んでいる高齢者は多いことから、日常の口腔ケアが重要となります。

健康である高齢期から口腔ケアに取り組むために介護予防に口腔機能の向上が導入されました!歯のない方も入れ歯や舌の口腔ケアが必要です!

Y 誤嚥性の肺炎を地域で予防することの意義

  高齢者の誤嚥性肺炎は、一般的な肺炎の徴候と異なり、咳・痰・発熱がほとんど出ないという特徴があります。つまり本人が気づかないうちに進行していくために早期発見と対処が必要です。しかしながら、高齢者は生活圏域も狭く、体力の低下している方も多いため1カ所の検査では困難があります。

そのために、地域のかかりつけ歯科が見つけてあげることが重要です。そして、このような健康情報を地域歯科から発信することで、だれもが住みやすい町づくりを構築し、高齢期における不健康寿命(口から食べられなくなり、肺炎を繰り返す生活)を短縮させる目的があります。

  つまり、どれだけ人生を生きるかも大切ですが、どのような人生を生きるかが、私たち柏方式における歯科介護予防のコンセプトです。

柏歯科医師会・歯科介護支援センター tel 7162−6480