平成19年度 第3 研究会

『いのち はぐくむ 食』

「口から食べる」ということは栄養摂取するということのみではなく、その方の楽しみ、生きる力などQOLにも大きな影響をもたらします。今日では「摂食嚥下障害看護」認定看護師制度やNST(栄養サポートチーム)などが実施され、ますますその関心がたかまりつつあります。

 そこで今回は、摂食嚥下界の第1人者である藤島一郎先生が、日本ではじめて摂食嚥下ビデオを制作された際、共演なさった看護師である田中靖代先生をお招きし、長年臨床にて実践されてきた摂食嚥下リハビリ看護の手法をご伝授いただきます。

 また、田中先生の看護の集大成は地域で生きる人のライフサポートと考えておられ、31年間の臨床看護を退職され、2001年ナーシングホーム『気の里』を開設し、施設長としてご活躍されております。地域で生きていく為の生活リハビリについてのお話もお聞きしたいと思います。是非ふるってご参加下さい。

田中 靖代 先生 プロフィール

 豊橋市立看護専門学校卒業後豊橋市民病院脳神経外科、整形外科、リハビリ病棟、手術室、回復期リハビリ病棟婦長として臨床看護に従事。

2001年「ナーシングホーム気の里」を開設。

 主な著書「食べるって楽しい!看護と介護のための摂食・嚥下リハビリ」看護協会出版 

講師  : 田中 靖代 先生

日時  : 平成19年10月23日 (火) 19:00〜

場所  : 柏市健康管理センター2F  会議室


   18時〜19時まで、健常者でもおいしく食べられる嚥下食として、4種類のおかゆの試食会を行います。ご自由にご参加ください。

  出欠を10月16日(火)までに歯科医師会事務所までお願い致します。
FAX7167-1027



〔研究会の記録〕

今回のごっくんちょ研究会は、長年臨床の場で摂食嚥下リハビリ看護に携われてこられた田中靖代先生をお招きしご講演していただきました。

摂食・嚥下のメカニズムは、まず、かまえて(先行期)、まとめて(準備期)、送り込み(口腔期)飲み込む(咽頭期)、食道通過(食動期)の一連の動作によって行われる。

食べられない方はどこに障害があるのか、観察眼をしっかり持ち私との違いを知り、アプローチをする。また、食べることだけに目を向けず生活行動のなかの食行動ととらえ、ライフサポートすることが食行動を整えることになる。

 
実践の場からのお話でしたのでとても説得力があり、また先生のとっても暖かい人間性にふれ、
2時間があっという間に過ぎてしまいました。

最後に短い時間ではありましたが、食べさせ方の実習(スプーンを上あごにつけ、お口を閉じさせ上唇をすくうようにしてスプーンを抜く)と、体位ドレナージの方法はみなさん食い入るようにして見ておられました。

田中靖代先生のご講演の前に、柏市健康推進課栄養士さんの協力にて、給水時間とお水の量をかえての4種類のおかゆの試食も行われました。内容をふせた状態で試食していただきアンケートに答えていただきました。

記:介護支援センター歯科衛生士大森


全粥の食味テスト 

ごっくんちょ研究会 200710. 30(回答数43名)

<健常者においてもおいしく食べられる嚥下食〜アンンケート方法〜 > 

A〜Dの全粥を「健常者の食べ方」,「嚥下障害者等高齢者の食べ方」で試食し,該当する箇所を○で囲んでください。(A〜Dの内容は試食者には知らせていない)

1.      健常者の食べ方 : ご自由に試食してください

味の回答:A/B/C/D  美味しい ・普通・ おいしくない

2. 嚥下障害者等高齢者の食べ方 : お口に全粥を入れたら5秒そのままにして,その後歯を使わないで,舌だけでお粥を食べてください。

A 

@舌での押しつぶし

できる    ・ 普通 ・ できない

A飲み込みやすさ

飲み込みやすい・ 普通 ・ 飲み込みにくい

B味

おいしい   ・ 普通 ・ おいしくない

 B 

@舌での押しつぶし

できる    ・ 普通 ・ できない

A飲み込みやすさ

飲み込みやすい・ 普通 ・ 飲み込みにくい

B味

おいしい   ・ 普通 ・ おいしくない

C 

@舌での押しつぶし

できる    ・ 普通 ・ できない

A飲み込みやすさ

飲み込みやすい・ 普通 ・ 飲み込みにくい

B味

おいしい   ・ 普通 ・ おいしくない

D 

@舌での押しつぶし

できる    ・ 普通 ・ できない

A飲み込みやすさ

飲み込みやすい・ 普通 ・ 飲み込みにくい

B味

おいしい   ・ 普通 ・ おいしくない

【A〜Dのお粥の内容】

A 浸水60分 米:水=1:5   B 浸水60分 米:水=1:6

C 浸水90分 米:水=1:5   D 浸水90分 米:水=1:6

健常者の食べ方の結果(回答数43名)

おいしい

    21 (48.8%) 

普通

     12(27.9%)

おいしくない

10(23.3%)

 



おいしい

18(41.9%)

普通

     16(37.2%)

おいしくない

     9(20.9%)

 



C 

おいしい

     14(32.6%)

普通

21(48.8%)

おいしくない

 8(18.6%)

 



おいしい

     23(53.5%)

普通

     14(32.6%)

おいしくない

      6(13.9%)

健常者の食べ方では、浸水時間や水分量を変えた4種類とも、おいしさに大きな差を認めなかった。そこで、回答の普通を省いて『美味しい』と『美味しくない』のみの回答で比較検討した。

その結果、美味しいと感じる方が多く、美味しくないと感じる方が少ない全粥はDであった。

嚥下障害者等高齢者の食べ方の結果(回答数43名) 

嚥下障害者の食べ方では、押しつぶしやすさ・飲み込みやすさ・味ともに全てにバランスのとれた回答は、Dの浸水90分で1:6の水分量であった。そこで水分量(1:5Vs1:6)にて比較検討した。

水分量の比較では、米:水=1:6の方が、1:5の水分量に比べて、押しつぶし・飲み込み・味ともにすぐれていた。

浸水時間の比較では、90分の方が60分に比べて、押しつぶし・飲み込み・味ともにすぐれていた。

以上の結果より、今回の調査では嚥下障害者や咀嚼能力の少ない高齢者において、普通と回答した方を除去すると浸水時間90分で水分量1:6の全粥が適していることがわかった。しかしながら、今回の回答者は30−50歳の健常者であること、官能テストでのアンケート用紙の聞き取り方法(次回より変更します)など、再考察が必要と思われる。     
柏市健康推進課 西村治子