5段階食事法 『楽 し く お い し い 料 理 の 再 現』

普段の食事作りの中から,安全で簡単に調理できる方法

できるだけ家族と同じ食材で,形態を変えることによって食べやすく簡単に調理する方法 

食事と身体の状況

食事の形態・形状

Stage1

・食欲旺盛

・ほとんどの食品に対応できる

・家族と同じ食事形態

Stage2

・硬いものはかめない

・油が多いものは食べられない

・手が不自由

・軟菜食

・比較的大きめの一口大程度で崩れ

る程度煮る

・おにぎりなど有形態

Stage3

・軽度の咀嚼困難

・飲み込むことはできるが,あま

り噛まずに飲み込んでしまう

・軽い食欲不振

・軟菜食

・軟らかいものはつぶす

・細かくすりつぶす

Stage4

・食欲不振

・軽度の嚥下障害

・軽度の脱水症状

・咀嚼困難

・食事時間が長い

・軟菜食

・流動形態あるいは半流動形態

(プリン状)

Stage5

・嚥下障害(誤飲・誤嚥)

・脱水症状

・経管栄養から離脱するための食事訓練

・ゼリー食

・水分補給食

* 訓練はスプーン1杯から体調に合わせてゆっくりと進める。 田中弥生・宗像伸子:おいしいやさしい介護食,医師薬出版より


5段階食事法によるクリームシチュー(作り方は最後に掲載)


<介 護 食 の 条 件>

1.口腔から咽頭部を滑らかに通り,むせずに粘りつかないで嚥下ができる喉ごしの

よい食事にする。

2.見た目がきれいで食欲がわき,おいしいものにする。

3.誤嚥しやすい食物に気をつける。

4.エネルギー,栄養素,水分が必要量とれるようにする。

5.誤嚥しない姿勢でゆっくり少しずつ食べさせ,最後に水分をとって喉頭部に貯留し

た食物をよく洗い流す。(嚥下障害を除く)

6.愛情と敬意のこもった介助をする。  手嶋登志子:高齢者の食生活と栄養,光生館,1994より引用


< 介護食作りのポイント >

1.軟らかくなるまで煮込む。

2.ゼラチンやテクスチャー改良剤,寒天などを使って軟らかい寄せものにする。

(プリン,ムース,フルーツゼリー,牛乳寒天など)

3.くず粉,片栗粉でとろみをつけたり,あんかけにする。

(ごま豆腐,くずあん,牛乳,クリームあんなど)

4.水分,汁物にはとろみをつける。

(でんぷん,ゼラチン,増粘剤などを利用。状態に合わせてとろみを調整する。)

5.酸味のものは避けるか,薄めて使う。

6.やまいも,おかゆといっしょに食べると食べやすい。

7.卵を使って軟らかい蒸し物にする。(茶碗蒸し,卵豆腐,プリンなど)

8.油を使って喉ごしのよいものにする。

9.いも類はつぶしてマッシュにする。

10.普通食(常食,家族と同じ食事)の味を調えてミキサーにかけたり,とろみをつけ

たりする。

11.彩り,季節感,形,食器などに配慮し,食欲をそそるよう工夫する。


< ゾル状・ゲル状にするための材料 >

ゼラチン

砂糖量が増加すると凝固が強くなり弾力が増し,酸などのたんぱく質分解酵素を持つものを合わせると,凝固が弱くなる。

咀嚼嚥下の状態によって硬さを調整することができる。ただし,室温に放置しておくと離水が始まり溶けてしまうため,口の中での停滞時間が長い場合は利用を避ける。

寒天

一般に0.8%で固まるといわれているが,硬く仕上がり,口の中でばらけて気管に入りやすくなるため危険である。

増粘剤

簡単にペースト状(とろみ状)にすることができる介護食用に開発された商品で,粉末と液状のものがある。

咀嚼嚥下状態が安定している場合は状態に合わせて利用するが,むせ込みなどが強い場合には,でんぷんの性質上喉ごしが悪いので使用を避ける。

テクスチャー改良剤

ゼラチンによく似た製品で,利点としては60℃まで温めることができ温かい料理を提供することができる。

その他の材料

ペクチン・カラギナン・かたくり粉・コーンスターチ類・小麦粉

 


<食品群別の食品の扱い方・調理法>

肉類 

・牛霜降り肉は,肉の間に脂肪が網の目のように入っているため軟らかく仕上げることができる。豚肉や鶏肉は脂肪分が多少あるほうが軟らかくて適している。

・肉は焼きすぎると硬くなる。ひき肉はぱらぱらになるまで炒めると,むせや誤飲を引き起こすことになる。

・加熱する前にタンパク質分解酵素であるキウイやパパイヤ,パイナップルなどに10分くらい漬け込んでおくと肉質が軟らかくなる。

魚介類

・白身魚・赤身魚・青魚などは,蒸す,煮るなどの調理法で軟らかく仕上げたり,刺身として食べるのもよい。

・青魚はEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸を多く含んでおり,脳血管障害などの高齢者には適している。

卵類

・卵はアミノ酸価が高い食品で短時間に簡単に調理できる。

・調理法によって,流動食からオムレツやゆで卵のような固形物まで幅広いテクスチャーを楽しめる。

豆類

・たんぱく質が多い大豆,炭水化物を主成分にした小豆,いんげん豆など,ビタミン・ミネラルを主成分にしたグリンピース,そら豆などがある。

・凍り豆腐,きな粉は水分を含ませて調理しないとむせ込みやすいので注意が必要である。

野菜類

・舌でもつぶれるようにするには,葉先を利用したりつぶす,らかく煮る,するなどの調理法が適している。

・硬い野菜は圧力鍋や蒸気鍋を利用すると短時間で軟らかくな,形がそのまま残る。

いも類

・高齢者が好む食品で,煮ることにより軟らかくなる。

・軽度の嚥下障害にはいもをベースに利用すると便利である。やまいもは,白身魚を軟らかく仕上げるつなぎに利用できる。

乳類

・牛乳はゼリー状やクリーム状にすると摂取しやすい。

・嚥下状態が悪い場合はゼリー状にしていないヨーグルトは注意が必要である。

穀類

・一般的に軟らかいご飯を炊く時は,米の容量の1.31.5倍の水,かゆは米の容量の5〜6倍の水で炊く。

果物類

・熟した果物(バナナ・いちご・柿など)は嚥下状態に問題がなければそのままでも舌でつぶれるような硬さで食べやすい。




チ キ ン ク リ ー ム シ チ ュ ー ( 1 人 分 )

Stage

牛乳が苦手な人でも,煮込み料理なら食べられるようです。栄養価も充実した1品です。  

エネルギー 348kcal    たんぱく質 17.8g    塩分 2.2g

鶏もも肉     70g

(塩・こしょうで下味)

サラダ油     5g

水       150ml 

たまねぎ    40g

にんじん     30g

じゃがいも   50g

マッシュルーム 10g

シチュールウ  20g

ブロッコリー   20g

牛乳     100ml   

@ 鶏肉はそぎ切りにして,塩,こしょうで下味をつける。

A たまねぎはくし形,にんじんとじゃがいもは乱切りにする。

B マッシュルームは缶から出し,ブロッコリーは青ゆでしておく。

C なべを熱し油を入れ,鶏肉とたまねぎ,にんじんを入れ炒める。

D 分量の水を加え,煮立ったらあくを取って煮込み,火を弱めて10分程度煮込む。

E じゃがいもとマッシュルームを加えてさらに10分程度煮て,材料がやわらかくなったら,牛乳と市販のクリームシチュールウを入れ弱火で煮込み,なめらかに仕上げる。

F 器に盛り,彩りよくブロッコリーを盛り付ける。

Stage

シチューのとろみは口当たりも飲み込みもなめらかです。具は軟らかく煮て,肉をひき肉に代えましょう。  エネルギー 324kcal    たんぱく質 21.1g    塩分 2.3g

鶏もも肉 

鶏ひき肉70gに変更    

その他の材料は,

Stage同じ

@ 鶏ひき肉に塩,こしょうで下味をつける。

A たまねぎ,にんじん,じゃがいもはStageと同様に切る。

B マッシュルームはみじん切りにし,ブロッコリーはやわらかめにゆでる。

C StageのC,D,Eの手順と同様に調理するが,野菜がスプーンでつぶせるくらいまで Stageよりやわらかく煮る。

D 仕上げにブロッコリーを入れ全体になじむように混ぜて,火を止める。

Stage

   

ひき肉をすりつぶすことで,より口当たりがよくなり,野菜は美しく仕上がります。

エネルギー 324kcal    たんぱく質 21.1g    塩分 2.3g

材料は Stage2 と同様

@ 鶏ひき肉に塩,こしょうで下味をつける。

A たまねぎ,にんじん,じゃがいもはStageと同様に切る。

B ブロッコリーは,やわらかくゆでて細かくすりつぶしておく。

C StageのC,Dの手順と同様に調理する。

D じゃがいもとマッシュルームを加えてさらに材料がやわらかくなるまで煮る。

E Dから煮えた野菜と鶏ひき肉を取り出し,それぞれすりつぶす。

F Eの汁に牛乳とシチュールウを加えてとろりとするよう煮込み,器に盛りEの野菜と鶏ひき肉,Bを盛り付ける。

Stage

野菜の形に形成すると,家族と同じものを食べているという満足感で,食欲も増進するでしょう。    エネルギー 347kcal    たんぱく質 17.5g    塩分 2.2g

増粘剤    適量

マッシュルームは除く

その他の材料はStageと同様

@ Stageの@〜Dの手順と同様に調理する。(マッシュルームは除く。)

A @で煮えた野菜と肉をそれぞれミキサーにかけ,増粘剤でペースト状にしきれいに形を作る。

B 残った汁に牛乳とシチュールウを加えてとろりとするよう煮込み 器に盛り,Aの野菜と鶏ひき肉,ブロッコリーを盛り付ける。

Stage

 

食欲のないときにも食べやすいゼリー状仕立ての1品。仕上げはソースで美しく。

エネルギー 168kcal    たんぱく質 11.6g    塩分 1.1g

鶏もも肉     35g

塩        0.25

こしょう     少々

サラダ油     2g

水       100ml 

たまねぎ    20g

にんじん     5g

じゃがいも   25g

ブロッコリー  40g

シチュールウ  10g 

牛乳      50ml

テクスチャー剤 1%   

@ Stageの@〜Cと同様に調理する。にんじん,ブロッコリーを取り出し,それ以外をミキサーにかける。

A @の150mlをなべに移し,もう一度火にかけ,テクスチャー剤を入れて煮溶かす。

B Aを大きめのプリン型に入れ固める。

C にんじんとブロッコリーは別々にミキサーにかける。

D 器に盛り付け,Cのブロッコリーをとろりとかけ,にんじんをのせ固める。

E 食べる直前に60℃まで温める。