食事介助マニュアル

〜 施設入居者・在宅向け 〜

【食べる準備】 姿勢と覚醒
姿勢の意味
要介護高齢者はわずかな姿勢の傾きでもムセが起きたり誤嚥したりすることがあります。とくにムセのない誤嚥を防止するために重要な要素となります。身体を支えるためには、骨盤と足底と背中が支持面となり、上肢の運動や安定が維持されます。腰と足底の安定をみましょう。摂食活動は姿勢制御運動が基礎になります。

覚醒の意味
しっかり目覚めた状態で食べ始めることが大切です、声かけ・ボディタッチ・頸部マッサージ・蒸しタオル等で覚醒させてください。また、薬や昼夜の逆転現象が影響します。覚醒が十分でない場合に、口内残留・舌の送り込み低下・嚥下後誤嚥が発生します。

自立度の高い方
食前体操が有効です。また習慣的に1.『あいうえお』とはっきり言う、 2.舌の先で頬の内側を右、左と順に押す、 3.上唇・下唇の内側を押す、 4.口の中を右回りにクルリ左回りにクルリ、 5.ゴクンと唾液を飲む、 6.ウーイー、 7.『パンダのたからもの』でも良いです。

自立度の低い方
スポンジブラシでできない所を介助します。『ウー・イー』にて口唇を緊張させ、最期に舌を下に圧迫し横に押して舌筋を刺激してください。このときに清掃も同時に行うようにしてください。
【食べる時の注意点】
  1. 朝食の始まりが、窒息の発生が一番多い時間帯です。自立度の低い方には、はじめにしっかり覚醒させ、氷水などで口内を潤して2〜3回空嚥下をさせてから食事しましょう。

  2. 食事が何であるか説明して、必ず患者さんの視野に食物を見せて声かけしてから、食べさせましょう。最初の一口は慎重に食べましょう。

  3. 患者さんの口唇の幅より小さいスプーンに、2/3くらい食物をのせます。食べ物を口の前まで持ってきてもらっても、そこからは自分の唇で取り込むのが基本です。(補食)

  4. 声かけしながらスプーンをやや下からまっすぐ口元へもってきて、 スプーンの半分くらいを口の中に入れ、上唇に食物がついたら患者自身の唇で取り込ませ、まっすぐにスプーンをひきます。

  5. 水分はコップを斜めにして、水がコップの縁ぎりぎりまできたら上唇にて自分ですすらせて飲ませます。

  6. 高齢者は唾液の分泌が少ないため、食べ始めは液体で少し口内を湿らせて、咀嚼・嚥下しやすいものから先に食べましょう。始めは必ず飲み込んだのを確認してから次の一口を入れる。そして、3口までは必ず咽頭挙上を見ながら飲み込みを確認します。その後は咽頭が見える位置で患者さんのペースと患者さんに応じた一口量を厳守します。

  7. 食事が進まないときは、飲み込みやすい物と飲み込みにくい物を交互に食べられるように配分したり、食物→水分→食物というふうに食べさせます。ほとんど食べない方は、間にトロミなしの冷たい水やお茶をティースプーン1杯ぐらい与えて、お口を潤してください。

  8. 会話は口の中に食べ物が入っていない時に行い、摂食中の疲労感や姿勢のみだれに注意しましょう。むせたときは一呼吸おきましょう

  9. 粉薬は、ヨーグルト、ゼリー、とろみ、少量のお茶などを利用して錠剤は一錠ずつ飲ませましょう。できれば食事の最後に服用して、その後にゼリーやトロミお茶をのませて、咽頭をクリアーにしてください。

  10. 時々食事の途中の患者さんの声がかすれていたり、ゴロゴロした場合は一度食事を中断して、咳かハーと言わせて落ち着いてから再開しましょう。むせ終えたと思っても、まだ残留しているときがあります
【認知症の場合】
  1. 食事を食べている時に寝た場合は、声かけ、軽く揺する、肩を揉むなどして覚醒します。覚醒したら口内を確認します。

  2. 食事が止まったとき、顎の下を前後に軽くさすります(嚥下促通法)または、スプーンで舌を押して引く時に上唇に軽くふれます。これにより、再びパクパクする動きが見られることもあります。

  3. 次の一口を入れる前に、前の一口を飲み込んだか確認したい場合、口を開けてという指示がはいらない時はスプーンになにものせないで、口元のもっていくと口を開ける時があります。

  4. いずれの場合でも食事時間は40分前後として、あまり食べない場合は、豆乳バナナジュースやとろみ栄養ドリンクを併用しましょう。
【5分でできる口腔ケア】
1.  口腔ケアスポンジにて口腔粘膜・舌の清掃 1分30秒
2.  歯ブラシ・歯間ブラシ(1歯ごとに磨く) 2分30秒
3.  うがい 1分