絶食状態から食事を再開するときの注意事項

@ 入院前の食事には問題がなく、重症脳卒中・頭部外傷などで急に入院し摂食・嚥下障害を発症した場合
  ・ 入院後早期からの口腔ケア・間接訓練を開始する。
  ・ 直接訓練開始基準は
   1. 意識レベルがJCST桁
   2. 簡単な指示に従える(舌出し・開閉口・離握手)
   3. 全身状態(呼吸)が安定している
   4. 改訂水飲みテスト(2−3ml冷水)あるいは、フードテストにてムセなし。
     * 急性期における嚥下障害は、なるべく早期(ICU時期)から口腔ケアを導入し、呼吸と血圧が安定し、ギャッチアップ可の指示がでたらすぐに、直接訓練を開始すれば全例ではありませんが、ほとんどの方が経口摂取出来ます。(詳細は、嚥下指導医に御相談してください)

A 入院前に摂食・嚥下障害があり、何らかの理由にて絶食期間が1ヶ月以上ある場合 (口腔ケアとお茶やハチミツなどをなめる練習で空嚥下練習してから)
  ・ 指示がはいる方
      1.  冷水2ml(茶さじ1杯)を飲んでもらい、嚥下あり、ムセなし、湿性嗄声なし、呼吸変化なしであれば、飲水訓練とゼリー・ヨーグルト・アイスクリームなどの直接訓練可能です。少しずつ嚥下食2へ移行。
      2.  ティースプーン1杯のプリン・ゼリーを摂食し30秒間観察して嚥下あり、ムセなし、湿性嗄声なし、呼吸変化なし、口腔内残留があっても追加嚥下にて残留消失であればゼリーから再開。
     * まず、徹底的に口腔ケアを施行して、上記どちらかの検査がクリアできれば、アイスマッサージと嚥下体操をしながら、正しい姿勢と食事介助にて無理せずに、嚥下食からミキサー(ムース状)食に移行。
  ・ 指示が入らない方(認知症)
     * 口腔ケアの回数を1日4回行い、その際の唾液嚥下でムセがないか確認して、0.5cm程度の氷のかけら(氷片)か1ccの氷水を摂取を10回程度試みて、問題がなければ1日3回行い上記チャートと同様

B 長期絶食されている方でも、熱心にリハビリを受ければ殆どの方が、お楽しみ程度から、経口摂取出来るようになります。あきらめないでください。また、高齢者はムセのない誤嚥や、誤嚥性肺炎の発熱が高熱でなく、繰り返す場合があるので、注意深く観察してください。

【重要事項】

間接訓練や口腔ケアに関しては、ごっくん体操〜自立度の低い方〜を参考にして、数回繰り返してください。 (1日4回が、細菌増殖の点から理想的である)

急性期の嚥下リハの成功の秘訣は、早期から口腔ケアと間接訓練を開始する事と、早期からゼリー等を奥舌に入れて食べさせてみて反応を注意深く観察(嚥下と口腔内残留と複数回嚥下)することです。

急性期は、重度以外は開始後1日ごとに急速に回復します。どの症例にVFや内視鏡で確認するかですが、この嚥下はちょっとおかしいと感じたら、撮影する流れで良いと思います。病棟がチームで取り組めば、入院日数14日で8割以上の方が口から食べられます。

マンパワーの問題は地域歯科医師会とチームアプローチすればナースの方も、本来の仕事に負担をかけずに患者さんとの信頼関係も向上すると思われます。

脳卒中後遺症の嚥下障害は、約半数の人に認められますが、発症後1週間で27%に減少し、6ヶ月後には8%の方に後遺症が残ります。 早期から、リハビリを開始することにより、この数は激減すると思われます。脳卒中は毎年50万人発症します。つまり毎年5−6万人の嚥下障害患者が発生しております。この患者さんの誤嚥性肺炎の医療費や、本人の術後の生きる意欲を考えると、手や足のリハと同様に早期リハビリの体制を社会が後押ししてあげることが重要と考えます。

また、重要なのはどこの病棟でも、食べられる方はすぐに普通食になりますが、運動麻痺や感覚麻痺は長く続きます。そして6ヶ月後には新たな嚥下障害の方が3%発症します。
 退院時にごっくん体操〜自立度の高い方〜を説明・解説して転移先の病院や在宅で6ヶ月の間体操を行えば、この方もほとんどいなくなると思われます。退院時の注意として、麻痺側の喉(咽頭)はムセの無い誤嚥に繋がる事を患者さんに十分認識させて、食事の際の体位(麻痺側がやや上に向くように)とペースを感覚麻痺が残存している間は、気をつけるように指導してください。


柏歯科医師会 医療班