研究会とは
 ごっくんちょ研究会は、食べたり飲み込んだりするのが困難な方へ、『おいしく・楽しく・安全に、口から食べることへの支援』を研究する会で、『食』 『介護』 『障害』 『認知症』 『食育』 『歯科保健教育』に関して、実際に困っている事を多職種の知恵を集めて解決していくことを目的としています。
 平成17年1月の開設から現在まで、延べ人数700名が研修会に参加しており、毎回100名以上の職種が集まり、研修を受けております。
 摂食・嚥下機能支援にはチームアプローチが必要となり、メンバーが本来の仕事の質を向上させつつ活動できるために、少しずつだが多職種から人・知恵・力を持ち寄って地域密着型栄養サポートチームを構築し『現実にどう対処するか?』を基本的な考え方としています。
 今回、介護予防と摂食・嚥下リハビリの解説DVD:ごっくん体操〜誤嚥性肺炎の予防〜が全国の地域歯科医師会(約850カ所)に配布され、地域の高齢者の介護予防事業に利用される運びとなりました。つきましては、ごっくんちょ研究会でもネット上から無料ダウンロードできる環境を作るために、ホームページを開設することになりました。
 このホームページを各職種のキーマンが自由に利用して、ごっくんちょ研究会の横の連携を深め、地域に密着した摂食・嚥下機能支援や食育が発展していくように構成しました。
 DVD作製・ホームページ開設にあたり多大なご尽力を頂き、ご支援くださいました實方謙善様・若林典子様に厚くお礼申し上げます。
平成17年11月1日   管理人: 大石 善也  


研究会の目的
 ごっくんちょ研究会も2年の歳月を経て、延べ人数も1000人を超し研究会にも100〜200人の職種が集まる会になりました。この会は(社)柏歯科医師会による地域医療の啓発を目的に協賛され運営されております。
 本年度より正式に『地域保健医療常置委員会』が設置され12名の歯科医師のボランティアと『歯科介護支援センター』歯科衛生士2名により組織構成が新設されました。この委員会と柏歯科医師会と行政で『口腔保健センター』が市民の皆様に社会的貢献できる場所になるように検討していきたいと思います。
 そこで『ごっくんちょの目的』を現在の『口から美味しく、楽しく、安全に食べることへの支援』から『食によるまちづくり』に拡大し、健常者から障害者までライフステージを通じて『現実的に今後どのように支援するのが良いかをチームアプローチにて考える会』として下記事業を推進していきたいと考えております。
@ 食育・歯科保健教育
 昨年より食育基本法が発足し、教育機関・厚労省・企業等で非常に熱心に事業展開している分野ですが、「食環境のよくない子供や大人に対しての支援・向上方法」は現実的に難しいと思われます。そこで、柏市内の小中学校に『柏の食育:モーニングスローフード作戦』<という実施アンケートを現在収集しております。食事で「人との関わり方・人間関係・家族との会話」を検索することで、今問題になっている「キレル子供と犯罪」を含めた『食事による精神安定効果と味覚教育』を展開していく予定であります。
 また、歯科保健教育では、『予防歯科』、『食育体操』、『痛くない歯周病治療:PMTC』をわかりやすく市民に啓発できるマニュアル作りを作製しております。
A 障害者支援
 食べることは、生まれてから獲得する機能です。心身障害児者は食物を口に取り込むこと、押しつぶすこと、咀嚼することが出来ない方が多くみられます。今後設立される『口腔保健センター』では、摂食・嚥下機能療法室を設置して障害者歯科の先生とともに、早期治療を展開する予定です。この食べる機能を乳幼児期に獲得していないと、成人になったときに口から食べられなくなったり、重篤な呼吸器障害(誤嚥性肺炎)を引き起こし、生命の危険があります。
 同施設は歯科特殊診療を行う場所でもあり、精神障害を含む歯科治療が困難な方に全身麻酔にて診療を行う体制や乳児期から予防口腔ケアを導入して一生虫歯・歯周病を作らない支援体制を考えております。
 また、肢体障害者は廃用萎縮予防の理学療法が必要ですが、柏市近隣には行う機関がないため、このあたりも行政とともに考えていきたいと思われます。
B 介護予防
 平成18年度4月より介護保険 新予防メニュー 『口腔機能の向上』が施行されました。現在全国で『食の研究会』を設置している市町村はわずかであり、柏市はそのなかでも熱心に研究されている先生が多い地域であります。この歯科介護・口腔ケアが社会的に認知される事業になるように、行政と共に地域支援事業に積極的に参加して、市民高齢者の『食環境』とQOLを向上していく考えです。将来的には保健センターに地域包括支援センターの中枢が出来ると思われますので、連携をとりながら『まちづくり』を推進する考えです。
C 摂食・嚥下機能支援
 この摂食・嚥下機能療法は、アメリカでは従来から医師・歯科医師・嚥下療法士等が医学教育化しておりますが、日本ではやっと日本大学歯学部に摂食機能療法学講座(植田耕一郎教授)が出来たばかりの学問です。しかし、この10年間に学会も発足し、看護師に認定度制度ができ、近年栄養サポートチーム(NST)とともに非常に注目されている分野です。脳卒中や加齢にて『口から食べることができなくなった患者さん』に再度、安全に美味しく口から食べてもらうリハビリテーション学が出来る歯科医師・歯科衛生士を育成している段階です。
 摂食・嚥下障害を好発する脳血管障害(脳卒中)は急性期に介入すると約半分に減少させることができます。是非家族の方が脳卒中になり口腔内に感覚障害(食べることができても口や喉に麻痺がある状態)がある期間は『ごっくん体操DVD:300円』を購入して実施すれば、ほぼ全ての方がこの後遺症から逃れることができます。覚えておくと良い情報です。
D 共に生きる認知症ケア
 現在、要介護高齢者の約半分の方に認知症が認められ、今後この病気(脳血管性・アルツハイマー型)の増加は他の疾患よりも急速に増えてきます。検査や1年ほど進行を遅らせる薬もありますが、町全体で暮らしやすい環境を整備する事や応対の仕方についての事業が進められています。
 しかしながら、個別の患者さんへの対応方法については論議されておりません。認知症対策には精神的対応と同時に身体の不具合を見つけ出す対応が必要です。問題行動への対処、以前の性格から現在の行動を対応する方法の検討など、現実的な問題解決に対して、グループホーム等での口腔ケアをとうして考えていきたいと思います。
E 離乳食・介護食支援
 近年、ベビーフードを購入する方が増加しております。とくに離乳中期食をつくる母親が減少しており、本来の食物の味を一生口にしない赤ちゃんが増加しております。好き嫌いや偏食に移行する大切な時期ですので、是非調理して欲しいと思います。摂食の発達過程と食形態は密接に関係しており、将来の食事への関心度、栄養、疾病に影響を与えます。
 また、高齢者にはまだ『キザミ食』を平気で訪問看護師さんが勧めているのが現状のようです。咀嚼力の低下した高齢者に何を食べてもらうかは、簡単なようで、なかなかレシピや医学的情報が不足しています。この問題も将来『口腔保健センター』にて栄養士による指導や情報発信を考えています。
F 緩和ケア
 以前は終末期医療とかターミナルケアと呼ばれていましたが、最近は緩和ケアという言葉を使います。誤嚥が強く気管切開、癌のターミナル、重度脳血管障害にて意識回復不可能、ホスピス等での口腔ケアをとうしての、人と医療者の関わり方を勉強していきます。大変そうですが実際やってみると、こちらの心が癒されることを体験させてくれます。
 また、癌で放射線療法や抗ガン剤を受ける方が、入院中に副作用の口内炎で食事が摂れなくなる方が多いことはあまり知られておらず苦労する方が沢山います。とくに頭頸部癌では顕著に現れ2クール目から、食事量が落ちて、免疫力が回復するまで治療を中断することは日常的に良くあります。
 入院日が決定したら、かかりつけ歯科医にて歯周病治療を受けて、徹底的に口腔内を清潔にします。そして抗ガン剤・放射線療法中は歯科衛生士による訪問口腔ケアと洗口剤のアイスボールにて口腔内を冷却することで、かなり改善します。治療中の体力低下や口内炎による苦痛(これが結構痛いのです。口に中がドロドロのやけど状態)免疫力の回復に寄与します。
 また、私も柏市健康福祉審議会・介護保険運営協議会・地域包括支援センターの歯科医師代表、地域保健医療委員会・柏市歯科医師会附属歯科介護支援センター理事、口腔保健センター設立委員会 委員長、柏市学校保健会理事、柏市学校給食運営委員会アドバイザー、千葉県歯科医師会予備代議員・心身障害者巡回指導医、日本大学松戸歯学部病理学専任講師等で社会に貢献していく所存であります。
柏歯科医師会 地域保健医療委員会 担当理事 大石善也